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![]() 雨とは相思相愛のようである。 「ねえ、どこが好き?」 と雨が聞いてきた。 「雨の日って、音が遮断されて世界がすごく静か。雨が空から落ちて、地面や窓や木にぶつかる音。私のまわりはその音に時折混ざる鳥や虫のさえずりだけで包囲されて、人生や世の中からいったん保留って気分になるのが心地いい。いろんなことを器用にこなせない自分を、今日は雨だからって、雨の日だけは許してもいいの」 「ふうん、そうなんだ」 雨は頬杖をついて私の話にあいずちを打つ。私は続けた。 「でも雨は不便だな」 「え?」 「家にいられる日はいいけど、遠くまで出かける日に雨が降っていると自転車に乗れなくて困る。イベントや行事が雨でつぶれたり延期になったり、雨なのに実施になっちゃうのも困る。バスや電車の中は湿った熱気がこもってみんな殺気立ってる。雨の日はバスが混むから運転手さんの“満員ですので停車しません”ていうアナウンスだけ残してスルーして行っちゃうんだよ。みんな並んで待ってるのに。あと洗濯物も外で干せなくて困るし・・・」 雨の目の色が変わった。 雨は小声の早口で言った。 「そこも込みで愛してほしい」 「そこも、込みで?」 私の言葉に雨はうなずいた。私は困った。 「雨さぁ、重いよ・・・あ、そう言えばゆうべのバリバラすごか」 話題を変えようとする私に雨はきっぱり言った。 「不便も込みで愛してほしい!」 「えー、約束できないよ」 雨は体全体で恨めしいムードを醸し出すと、 「なら、ずっと晴れてればいいじゃん!!」 と叫んで消えた。 雨は降り続いている。 明日の台風の進路は変わるだろうか。 ☆☆☆☆☆☆ 最後までお読みいただきどうもありがとうございます! ↓ランキングに参加しています。よろしかったらポチッと応援お願い致します♪ にほんブログ村
by mitakapurin
| 2016-08-29 09:15
| 雑談
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