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恋愛ものかと思いますか。 半分実話です。 ゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.―― 暑さのせいか毎日けだるい。 気がつくと口ずさんでいるあの人の名前。 歯を磨きながら、洗濯物を干しながら、 スーパーマーケットで買う物を選びながら。 私の中で常に甘く転がるその名前。 (はっ、また。もうあの人の名前を口ずさむのはやめよう) でもまたすぐに私の心のすきまに入り込んできて 無限のループを繰り返すその名前。 (別に、好きなんかじゃないのに。なんで?) (あの人の名前を出すのはあの時だけでいいのに…) 夏の終わり。 美容院は嫌い。でもそろそろ行かなくちゃ。 ピカピカに磨かれた大きな鏡。 美しくも若くもない顔がまぎれもなく映し出される。 「今日はどうしましょうか」 と尋ねられても「今よりましにしてください」としか言えない。 そんな抽象的なことでは困りますよね、ヘアデザイナーさん。 私はここで魔法の名前を出す。 「IKKOさん」 「はい?」 「IKKOさんみたいにして下さい」 「IKKOさん? あの…IKKOさんですか」 「はい。あのニューハーフっていうかオネエさんのIKKOさん」 これで間違いなく少し前下がりのショートボブにしてもらえる。 本当は篠田麻里子や本田翼のイメージだけど 畏れ多くてそのようなことは言えない。 私にとってIKKOさんは便利なヘアカタログのような人。 (IKKOさんIKKOさんIKKOさんIKKOさんIKKOさんIKKOさん・・・) 秋が来て冬になる。 心の中もクールダウンしたのか。 〈IKKOさん〉とつぶやくことはなくなった。 クリスマスの訪れを感じる頃今度はまた違う名前が私の中を転がる。 なんで! 全然好きなんかじゃないのに! (きんにくんきんにくんきんにくんきんにくん・・・) 中山きんにくんの髪型ってどんなだったっけ。 (おしまい) ゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.―― 美容院での注文のくだりが実話です。 便利です。
by mitakapurin
| 2014-08-27 18:15
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