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ここはとある地下組織のアジト。 今日も日本語の乱れを憂慮し、 一般市民にさりげなく混じって生活する中で見つけた 謎ワードを調査分析すべくサトウ隊員は精魂を傾けていた。 隊長「なんだ!サトウ隊員!」 サトウ「自分はまた発見してしまいました、謎の現代用語を!」 隊長「なんだー?! 言ってみろー!」 サトウ「はいっ! かなり深い根を持っていそうな謎のワード、 それは・・・〈大人可愛い〉であります!!」 隊長「〈大人可愛い〉・・・か。 それについては我が輩もかねがねどげんかせんといかん!と気を揉んでいた。 しかしこの用語はかなり根が深いぞ。 いたずらに掘り始めたら患部を見つける前に次期オリンピック開催国に到達してしまうかもしれない。 サトウ隊員、ふんどしを締め直してかかれい!」 サトウ「御意ーーーっ!!」 ・・・・ ここは日本が密かに誇る地下組織・謎の現代用語調査隊の三鷹研究所である。 サトウ隊員はある日、いつものように一般主婦になりすまし ダラダラとテレビ試聴するふりをして日本語の乱れをリサーチしていた。 CMになり、他チャンネルをザッピングしようとして 彼女の目は画面に釘付けになった。 テレビの中で藤原紀香が楽しそうに風に髪を乱されている。 紀香「大人ヘアカラー シエロ そろそろ…と思ったらワンプッシュのクリームで 気になるときに 気になる部分に。 取り置きできるから いつだって 髪色キレイ!」 別バージョンでは 「大人カラーリング シエロ 見えないところも染まるクシ付きミルキー 片手でとかす とかす とかすだけ。 かきあげた髪 ビューティフル!」 このように宣伝なさっている。 サトウ隊員は思った。 (大人ヘアカラーって、何?) さらにサトウ隊員は思った。 (白髪染めってNGワードなの?) 続けてサトウ隊員は思った。 (高島礼子のときも感じたけど、 藤原紀香も絶対家でヘアカラーしないよね。 菊池桃子だって、松田聖子だってしないよね。 …郁恵ちゃんはもしかしたら家でヘアカラーしてるかもしれない雰囲気出してるけど100パー使ってないよね。 リアリティを求めるのなら松本明子を起用してくれ) さて。白髪染めを大人ヘアカラーと言い替える精神は 昨今ファッション雑誌などで頻繁に使われている謎ワード〈大人可愛い〉と 根は同じものである。 〈おばさん感〉を〈大人〉という言葉に置き換えているのである。 加齢、エイジング、シニア、中年、アダルト、シルバー、熟女、おばさん化。 これらを避けて「大人」と呼び習わす。 悪しき習慣である。 おばさんを避けて通る精神! おばさんを汚らわしいものとして扱うその精神! おばさんと妖怪を同じジャンルとしてひとからげにするその精神! 叩き直してくれるわ!! ここでサトウ隊員は提唱する。 〈大人可愛い〉の定義を変えたい! (野々村風に) 〈大人可愛い〉の現行の意味合いは 「おばさんなのに可愛い」 だめだめだめ! 全然ダメ! じゃあ、少しずつ接続詞を変えてみよう。 「おばさんだから可愛い」 惜しい。 「おばさんぽくて可愛い」 お、いいね。もう一息。 「おばさんみたいに可愛い」 いい! これはもう 「トイ・プードルみたいに可愛い」の トイ・プードルとおばさんが同じ地平にいることを表している。 さらにこれを可愛く変化させる。 「おばたんみたいにかわゆい」 やばたん! おばたん、やばたん!! 姪っ子に「おばたん♡」て呼ばれたら、やばたん!! おばたんのどこが可愛いかって言うとね、 もう女という土俵から下りてるとこなのね。 「おばたんみたいに可愛い」にはね、 女という土俵を下りちゃったおばたんに対するそこはかとない憧れが感じられるわけ。 女として認められるための戦いに疲れた女たちのユートピア、桃源郷・・・ それがおばたんなのね。 だって日本女性の平均寿命85歳だよ。 縄文時代は30歳だったのに。ね、疲れちゃうよね。 男でも女でもない、おばたん。だからプードルと同類なわけね。 なかなか土俵から下りようとしない美魔女は だから可愛くないわけね。すごいとは思うけど。 (紀香もここに所属) 日本人諸君。 今後 〈大人可愛い〉というワードを目にしたり耳にしたときは 君たちの心のなかで 〈おばたんみたいにかわゆい〉 に変換してくれたまえ。 報告は以上です。
by mitakapurin
| 2016-06-16 11:23
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